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SUPER AGURI撤退

SUPER AGURI、F1撤退 苦渋の決断・・・ 06/05/08 16:33

スーパーアグリF1チーム(SAF1)は、6日(火)、F1世界選手権から撤退することを決定した。2006年からプライベーターチームとしてF1に参戦し、昨年はチーム結成22戦目(スペインGP)で初ポイントを獲得、2007年のランキング9位という成績を残したSAF1のF1における活動は本日、その幕を閉じることになる。

鈴木亜久里 チーム代表

「F1チームオーナーになるという私の昔からの夢を実現すべく、2005年11月にF1にエントリー申請をし、2006年よりスーパーアグリF1チームとして、2年と4カ月にわたりF1の世界で戦ってきたが、本日その活動に終止符をうつことになった」

「多くの自動車メーカーが参戦しているこの世界でプライベーターとして戦いを挑み、昨年はチーム参戦から、わずか22戦目にして初ポイントを獲得しランキング9位となる快挙を達成することができた。しかし、昨年のシーズン初頭から、パートナーとして一緒に戦っていくはずだったSS United Group Company Limitedの契約不履行によりチームは経済的なバックボーンを失い、経営は非常に厳しい状況に追い込まれた。また、カスタマーカーに関する方向性の変化などチームをとりまく環境変化もあり、チームは新たなパートナー探しを精力的に続けてきたが、その活動は難航した」
「その間、ホンダから支援を受けながら、なんとか今日まで持ちこたえてきたが、現在のF1を取り巻く環境の中で、今後も安定的に活動を継続していく目処が立たず、本日、F1から撤退するという苦渋の決断を下すこととなった」

「ここまでチームを支えてくれたホンダ、ブリヂストン、そしてスポンサーの皆様、いろいろな状況の中でアドバイスを頂いたF1関係者の皆様、チームが苦しい状況の中でも、モチベーションを絶やさず働いてくれたチームスタッフ、厳しい状況の中でも頑張ってくれたアンソニー、チーム立ち上げから一緒に戦いチームを引っ張ってくれた琢磨、そして、これまでSAF1を応援してくれてきた世界中のファンの皆様に最大の感謝を表したい」

(SUPER AGURI F1 TEAM プレスリリースより)
F1-Live.com
RACING-LIVE Japan

日本人による一から作り上げた初のフル参戦プライベーターが幕を閉じた。
結果としてはパートナーの契約不履行であったのだが、残念ながらそれんを耐えることができないプライベーターの辛さであろう。

また昨日のエントリーに「HONDAが本気だからこそSUPER AGURIを突き放している」と書いている通りのようで、即時撤退ということは結果としてHONDAが「できるのか、できないのか」と即答を求めたのだと考える。
ニック・フライは別としてHONDA本社としては鈴木亜久里氏、佐藤琢磨という二人の日本人を抱えているチームになんとかしたかっただろうが、HONDAとしても本気で勝ちに来たからこそニック・フライ氏を招いたわけで、足を引っ張られることになるのは避けざるを得なかったのだろう。

もちろんGT500などでHONDAとSUPER AGURIの関係は即座に終結することはないであろうし、今後もパートナーシップを保っていくのではないかと考えるわけだが、残念ながらフォーミュラワンは甘くはないということと、必要な経費がそれらの比ではないということだ。
中嶋悟さんがでないのは、結局そういうことなのだと思っている。

無論SUPER AGURI F-1 Teamを応援していた一人であり、佐藤琢磨はトップドライバーに食い込む実力者だと思っているのだが、残念ながらその機会はかなり少なくなってしまったといわざるを得ない。
可能性としてはこのタイミングでルーベンス・バリチェロのフォーミュラワンから他カテゴリーへのスウィッチが流れていることを考えれば、HONDAの営業的にルーベンスの後に琢磨を乗せようとしているのかもしれないという噂を先走らせようとしているのではないかなどと邪推したくなる。

そして琢磨の引退後は中嶋悟DNA No.2でSRS-Fで速さをみせた中嶋大祐を乗せて活躍すれば、HONDAの営業サイドとしては万々歳であろうから、大祐が21歳くらいで活躍しはじめるまでの2年くらい・・・なんて考えをしてもおかしくはないだろう。
なんせSUPER AGURI消滅を惜しむファンがHONDA本社前に集まっているというのであるから、HONDAも営業的なことを考えざるを得ないのは間違いないだろうから。

SUPER AGURIはどうなるのか?

マグナ・グループとの交渉が頓挫し、HONDAから「一戦毎の支援は今後しない」といわれているSUPER AGURIであるが、またしてもドイツ企業(マグナもドイツ企業で、資金の出所がドバイであった)のワイグル・グループが株式の一部買取と将来的なパートナーシップを結ぶための最終交渉に入っていると表明している。

マグナのときは企業側からのアナウンスがなくなってしまい話が消えてしまったのであるが、今回はどうなるのかというのが非常に気になるのであるが、実はHONDAが支援に対して前向きな表明をしていないことで、私はHONDAの本気度がものすごいものであることを感じている。

つまりはニック・フライは本気でHONDAをトップチームにしようとしているのであり、弱小であり続けHONDAの支援ばかりをお願いしてくるようなチームは不必要であり、本当の意味でのHONDAのパートナーとなれないチームは不要だといっているように感じるのである。
これはチームとして正常な方向であると感じるわけで、佐藤琢磨の将来がかかっているなんて浪花節が聞こえてくるわけであるが、そんなものでレースに参加していることに意味はないとHONDAは表明しているというわけだ。

HONDAは勝たなければHONDAではないというのは、第一次、第二次HONDAであったわけだし、第三次は制約の中でやっているとはいえ、たった一勝しかしていない状況では、レースに参加している意義がそろそろないだろうと判断し始めたわけであろう。
だからこそニック・フライというプロ中のプロを雇ったわけであるし、BARを買い上げたのだと考えられるわけだ。

バトンの賞味期限は・・・なんてこともあるかもしれないが、少なくとも有数な才能であったバトンが活躍し切れなかったのは間違いなくHONDAのせいであるのは間違いないわけであるし、日本人としても有数の才能であった佐藤琢磨を生かしきれなかったのはBARでありHONDAである。
だからこそ今きっぱりとしなければならないわけで、HONDAのパートナーシップを結ぶにふさわしい相手になってほしいということもあるのだと考えたい。

でなければ浪花節大好きな日本人に対して、ニック・フライがいくらトップであったとしても、本社であるHONDAが「OK」を出すことの意味が理解できなくなってしまうのである。
つまりはレース界の常識として、当たり前のことをHONDAは考えているのである。

もちろんSUPER AGURIが今後もHONDAと共にパートナーシップを組み、佐藤琢磨がトップグループの次くらいでゴールできるようなチーム体制になるのが最も望ましい姿ではあるが、それができるのかどうかはSUPER AGURIにかかっているのである。