パラグアイ0―0日本(PK5―3)──岡田ジャパンは2年半の航海の末、8強の扉に手を掛けた。
だが、こじ開けるまでには至らなかった。「よくやった」「もっといけたはず」――。そんな気持ちがないまぜになった。
ともに初の8強入りを狙う日本とパラグアイ。序盤から守備に重点を置いた戦いとなった。W杯4試合目を迎え、日本の選手たちの動きは重い。それでも、パラグアイのサイド攻撃をよくしのいだ。
「やられるイメージはなかった」と長谷部が振り返った通り、日本の守備は安定していた。決定機を許した場面もあったが、川島の好セーブでしのいだ。グループリーグから、日本の組織的な守備は光った。
ただ、決勝トーナメントは守りだけでは不十分だ。大久保は「点を取らないと勝てない」。岡田監督は81分、守備の要の阿部を下げ、攻撃センスのある中村憲で勝負をかけたが、あと一押し、迫力が足りなかった。
結局、運にも左右されるPK戦の末の敗退。岡田ジャパンは、日本人が「守れる」という可能性を示した。一方で、絶対的なストライカーのいない「得点力不足」という長年の課題が、最後で響いた。
それでも、W杯前の親善試合で4連敗する苦境から、見事に立ち直った選手たちの精神力は素晴らしく、「サムライブルー」の名に恥じない戦いぶりだった。闘莉王は「このような一瞬、一瞬を味わえたことを感謝したい」とすっきりした表情で振り返った。
8年前の決勝トーナメント1回戦のトルコとの一戦は、雨が降っていたことを思い出す。この日のパラグアイ戦は曇り空だった。次こそ、日は昇ると信じたい。(平野和彦)
(2010年6月30日09時47分 読売新聞)
私はこの記事に疑念を抱く。
なぜなら今回ワールドカップのピッチに立たなかったのは5名。
GK楢崎、川口・・・川島が好調であったのと川口は怪我
DF岩政・・・中澤、トゥーリオのバックアップであったのは明白であり、ミスがなかったのだから止む無し
FW矢野、森本
つまりは最後のFWに関しての理解ができない。
パワープレーで高さを利用するなら矢野、イタリアという屈指の守備力を誇るリーグでストライカーである森本を試しもしないで「ストライカー不足」などとは言えないと思うのだ。
岡田監督に考えはあるのだろうが、あの不調(なのかもうここまでなのかはわからないが)であった中村俊輔をオランダ戦に出場させ、このところ結果を残していない玉田、審判にすぐクレームをつけて注意を受けている大久保、そして本来FWではない本田のことを考えれば、なぜ森本を出さなかったというのは疑問である。
「まだ若い」といわれる森本だが、選手の旬というのはいつまでかもわからず、現時点においてそれまでのベストパフォーマンスであろう時期に出られないというのには、やはり理由がなければならない。
たぶんその意味において森本本人は納得がいっていないであろうし、海外組・海外経験者で結果として23人の中でフィールドに立たなかったのは森本だけというのは理解に苦しむだろう。
◇
決勝トーナメントに進出して、日本中が岡田監督ごめんなさいというような風潮が広まったが、やはり私には評価することができない。
続けてきたパスサッカーを直前で諦め、結果は決勝トーナメント進出となったが、目標としていたベスト4などは夢のまた夢という現実をまざまざと見せつけられた。
もちろんこうした大会に出るのであれば、本来は優勝を目指すべきであろうことは理解するが、口にしてしまったベスト4が実現できなかったのはやはり岡田監督の責任だと考える。
98年のフランスワールドカップで直前合宿に日本のエースを連れて行って最終のメンバー選考で落とし、今回はとてもベストなパフォーマンスからは程遠い今までのエースだった中村俊輔を連れて行き・・・と、一致していない行動が多いし、やはりカズを直前合宿まで行って連れて行かなかったというのは、不調であったにせよメンバーからはずしたことは、私たちの世代にはやはり納得できないものである。
その意味もあって岡田監督不信というのはこの十数年続いているわけで、今回も直前に今まで数年やってきたやりかたを急に変えたことは、さらに不審を増す結果となった。
それは決勝トーナメントという結果を見ても変わることはない。
◇
もちろん山のように収穫はあったと思う。
日本には中田やカズのように絶対的なエースがいないと言われながら、決勝トーナメントまで進むことができたのは、日本人選手の底上げが確実にできていると考えるからだ。
そして今までさんざん言ってきたのであるが、日本代表として日の丸を背負っているイメージがなかったのであるが、本番にこれだけ気持ちの見えるプレーを見せられれば、遠く日本にいてもその意思の強さは伝わるのだと理解できた。
私たちから言わせれば「今の子」なのかもしれないが、その彼らが日本代表を意識していたというのは素晴らしいことであり、そこがこれからの世代に伝わっていけばよいことであると考える。
南アフリカ大会はまだ終わったわけではないので、これから決勝までの試合は見ていくのであるが、日本のサッカーを悲観する必要はないと感じた。
サッカー人口が減ったとか、サッカー人気が・・・などと言われてきたのであるが、いざ本番になれば国民も熱くなるのはわかった。
まあファッション的なにわかファンというのもあるが、日の丸を背負った選手を応援するのは一緒であるから、目をつぶることとしよう。
◇
さて私たちNSP Club、NSPサッカースクールとしては、日本サッカーの底辺から底上げを考えていこうと思う。
プロを育てるためのものでもなく、ただただ下町から新下町の地元チームとして活動をしていくとともに、子供たちと一緒にサッカーをしていこうと考える。
日本代表の終戦を見て、感じたことである。