カテゴリー: 少年コーチのつぶやき

少年サッカー移籍問題についてとその他の問題点

先日FootballEDGEというサイトのコラムに興味深い記事がありました。

【少年サッカー移籍問題2】子どもが「移籍したい」と言うのは、そのチームに魅力がないということ【久保田コラム】

久保田大介さんという方のコラムをみて、過去に少年チームを起ち上げようとしていろいろと問題があったことを思い出して書いてみます。

私たちがはじめたのは、まずサッカースクールでした。

サッカースクールをこじんまりとスタートさせ、区営や私営のサッカー場、フットサル場を「有償で借りて」スクールの運営をしていました。

月会費は4000円で、ウエアも決めずに「誰でもが来られるサッカースクール」というのを目指してスタートさせました。

他と一番違うのは「元Jリーガーである高木成太」がスクールのコーチであり、実際に毎回現場に立っているということです。
名義貸しではなく、高木本人がスクールのコーチとして現場に立つのが私たちの信念でした

当初は月会費ではなく一回1000円としたのですが、あまりにも自由に参加するため、定期的に参加する選手が来ないため、続けて行う育成には向かないということで月会費にしました。

そして、地域サッカー連盟からクレームが入ります。

「サッカースクールに連盟所属の子供がいたとしたなら、スクールの練習試合などには出さないで下さい」

最初は何を言っているのか理解ができず、サッカー連盟所属チーム選手のお父さんと話をしてやっと理解ができました。

つまりは「連盟所属選手は、他のチームおよびサッカースクールの練習試合などに登録して練習試合であっても参加してはならない」というものだったのです。
※簡単に言えば登録チーム以外の対外試合に連盟登録選手の参加禁止(公式戦、練習試合)

なるほど、ルールだというなら従わなければなりません。

なぜなら・・・選手が登録チームで選手として出場できなくなるからです。

私たちは選手が私たちの活動において制約されることを嫌い、連盟のルールに従うことにしました。

ですので、サッカースクールとして対外試合をすることはできませんでした。

さて、続いては少年チームを作ろうと動き始めました。

選手登録がないスクール生にチームを作ったら入部するかどうかを確認しましたところ、5人が入部を希望してくれました。

そのため、その他の選手にも登録の意思を確認したのです。

そうしたら先に教えてくれたお父さんが「連盟には移籍期間があり、その間は登録ができない」そして「移籍するチームが了承しない限り移籍ができない」というルールがあることを聞かされます。

ちなみに東京都の場合、東京都少年サッカー連盟というのがトップの組織として存在し、その下に「ブロック連盟」というのが存在します。

そのブロック連盟までが「東京都サッカー協会」管轄であり、市区連盟は東京都サッカー協会傘下ではない各々の団体となるのです。

そのため市区連盟はその市区において絶大な力を持っており、どんなルールであってもその市区においては「絶対」となります。

ブロック連盟に登録して東京都サッカー協会のチームとして存在させようと思っても、なにせ市区連盟からの推薦がないと登録できないのですから、とにかく新参チームは黙って市区連盟の命令を聞かなければならないのです。

そして一度でも文句を言おうものなら、私のように活動停止という脅しをかけようとするのです。

まあ、私の場合は少年チームができないことと、同時に進めていたジュニアユースチームが登録できないことで、一度市区連盟から脱退しましたし、その後も市区連盟の社会人チーム監督、代表、壮年部の選手として活動しているのですが、市区連盟からの活動停止命令は出ていない状況になっています。

というのも、実は市区連盟が私の活動を妨げるために、新規登録チームに対して「工藤または○○という人と関係ありますか?関係がある場合は登録ができません。」とはっきりと言ったのを確認したため、市区サッカー連盟を管轄している教育委員会および市区長に対してそれぞれ公式に質問状を送ったのです。
そして、市区連盟は私に対抗するために弁護士を用意して、そちらを窓口にしたのですが、当然ながら一任意団体が個人の活動を理由なく制限することなどできませんので、弁護士は私に対しての活動停止処分を課すことが不可能と判断したのです。

たぶんほとんどの方は市区連盟の言う通り我慢に我慢を重ねて、自分たちで必死に選手を集めて、移籍の自由も与えられずこらえて・・・結果としてなんとか出来上がったチームもありますが、断念をしている団体というのも見ます。

確かに運営のずさんな団体があるのも事実ですが、私たちはNPO化のため動いており、認可申請までしておりましたし、チームを起ち上げる段階ではなんとかトントンにまで持って行くことができていました。

しかも、練習場の確保もなんとかできていたため、問題がない状況でしたので、市区連盟から本来突っ込むことができない状況でした。

ところが彼らが言っていたのはもうお笑いのレベルでしかありませんでした。

○元Jリーガーが監督のチームができたら子供を取られる

○利益団体が少年サッカーチームを運営するのはいかがなものか

○非営利組織が営利活動をするのは問題だ!

というものでした。

一つ目の元Jリーガーの件ですが、そちらのチームにそれにかなう魅力がないのではありませんか?と言いたくなりました。
例えば歴史があって魅力があるチームであれば、私たちのチームなど選手も保護者も見向きをしませんでしたが、多くの方が私たちにお問い合わせをいただきました。
※ジュニアユースの第一回募集には40名もいらっしゃっていただけました

二つ目の利益団体ということですが、市区には株式会社で運営しているクラブもあるため、利益団体が・・・というのはお笑いでした。

そして三つ目ですが、NPOは営利活動を行い、利益を社会貢献活動か税金でおさめるのが団体としての使命です。

何を勘違いしているのか?と感じました。

そしてもう一つ。

市区連盟がバックアップしてJリーグのチームを「NPOの中に連盟役員を入れて」起ち上げようとしたのです。

これに私は大反対しました。

Jリーグのチームを作るとして、NPOがその環境を持っていないというのに、市区連盟が「特別に」そのチームにグラウンドを「優先的に」貸し出すというのも反対でしたし、そもそも市区連盟とそのNPOは別団体としてそれぞれが役割を果たすべきだというのに、同じ人間で構成されてしまってはそれぞれの特権を貸し借りするだけになるからですし、そう疑われても仕方がない状況になるからです。

まあ、結果を見れば明らかですが、市区が保有しているグラウンドを優先的に週二回以上、しかも複数使用しているわけですからそういうことになってしまったわけです。

こういうことに反対しても、その市区少年連盟は私に対して活動の制限をしてきたわけですから辟易しました。

・・・とまあ、こんな感じで「少年のチーム移籍」も「少年チームの登録」も「サッカースクールの運営」も、市区連盟が握っているわけですが、その特権を権力として正しい方向に使っていただければ選手たちのためになるはずなのですが、既得権にまみれた人たちは自分たちのことを守ろうとするわけです。

なんともまあ残念なことだと思っています。

コーチとしてプロとアマチュアの違い

前にピアノの指導をされている方に、厳しいながらも理解をさせる言葉を使う方と、言葉や物理的な体罰を使う方についての話をしていただいたことがあります。

似合わないかもしれませんが、工藤は子供の時にピアノを習っており、たいへんに厳しい先生についていたのです。
ただし、その先生は私に期待をするため、厳しいながらも理解させる言葉を使っていました。
たいへん優秀な先生でありましたが、私は完全に期待に沿うことができるレベルにまでは到達をすることはありませんでしたが、同じ時期に別の先生で厳しくてミスをすると物差しでたたいたり、怒鳴り散らすという仲間が担当されていた指導者のことを聞いたことがありました。

そのピアノの指導をされている方の話を聞いて、なるほどと腑に落ちたのはプロフェッショナルとはその事象などに対して、理解不足な人に説明ができるということを知ったのでした。

そしてその後、C級指導者講習会に参加をして、ほぼ同じことを伝えられたのと、講習の内容が今まで私が学んできたサッカーをまとめるものだったため、自分のサッカーライフを振り返ることになり、子供たちと接する時に言葉で説明がしやすくなったことを覚えています。

今もコーチとして現場に立つとき、ピアノの指導をされている方の言葉と、C級のインストラクターの言葉、そして自分のまとめが間違いなく役に立っていると感じます。

先日の怒鳴るコーチは結局はプロフェッショナルになりきっていないのだと感じますし、必要なコーチングができていないからこそ怒鳴る、もしくは選手たちを自分のコマかなにかと勘違いしているのではないかと思っています。

選手にも当然ながら人格はありますし、それぞれにスキルや考え方が変わってきますし、各個人は全く違うものであることをまず考えねばなりません。

もちろんコーチとは立場も人格も全く違うはずです。

それを「指導」という形であてはめようとすると、結果として「上から」の物言いとなり、選手の選択の幅を狭めてしまうことにもなりかねません。

当然ながら自己ができあがった選手に対しては、ティーチングも必要となってきますが、それは型にはめるのではなくあくまでも前提に対してどうアプローチをするかということであって、上からの物言いではなく考えるための材料になってきます。

社会人においてはコーチングよりも、より深いティーチングや共通理解が必要となってくるために、全く違うスキルができあがってきます。

そこからののびしろであったり、今までの経験やスキルからできあがった考える能力などはここによって違います。

ですが、チームとして一つの方向性を目指す際に「うちのチームはこうやっていく」という方向は、コーチや代表などが示していき、スタッフも含めた全員が共通の理解をしなければなりません。

それはプロチームであってもアマチュアチームであっても同じで、チーム内のコンセンサスが取れていなければ、そうそう勝てるチームなど作りようもありませんし、遊びレベルでいいならいいで、そのレベルでの満足度を得られれば良いのだと思います。

ですから実は社会人チームでは結構派手なコミュニケーションがあったりしますが、それは考え方の違いをぶつけるということであって、前向きにやるのであれば大いに結構だと思っています。

しかし、残念なことに選手の中にはそうではなく「自分が中心でありたい」という考え方や、自分だけの満足のためにやっている人もいるわけで、そういう人たちとチームの考え方が違う場合に、とんでもないトラブルが起きてしまうのも事実です。

アマチュアチームではそれこそ喧嘩になるわけで、プロチームでは移籍や果ては引退なんてことにもなりかねません。

還って、プロフェッショナルのコーチとは、育成年代であれ成年であれ、チームとしての基準や目標、それに対してのアプローチをまとめることができ、そのための方策を伝えられる人というのがあてはまると考えます。

そしてそこに「怒鳴る」「言い負かす」などということはなく、アプローチの説明や、今やっていることへの説明と準備、ゲームへのプランなどをまとめて確実に選手たちに伝えることになります。

それができてこそプロフェッショナルであり、アマチュアとは一線を画すことになるのだと思っています。

当然アマチュアのコーチの中にそういう方もいらっしゃいますが、全くの無償ボランティアの中には極めて少ない数しかいないのもまた事実です。

私が有償ボランティアも含めたプロフェッショナルなコーチに言及するのは、こうした理由によるものです。

コーチが怒鳴ったり、命令するのが理解できない

私はコーチとして怒鳴ったり、命令をしたりするのが理解できません。

年間100試合以上のゲームに携わるのですが、結構な強豪チームの育成年代のコーチでも、思い通りのプレーではなかったり、ミスに対して罵ったりするのをみます。

あれで何が生まれるんだろうといつも感じます。

子供たちを上手くさせたいんじゃなくて、いわゆるいい選手がでて勝利をすれば儲かるから?

大会に勝ち続ければ、入団希望者が増えてお金になるから、勝つためにやってる?

全てじゃないとは思いますが、まるで自分の今後のためにやっているんじゃないのというように感じる人もいます。

だから工藤のコーチをしているチームは勝てないんだよと言われるじゃもしれませんが、育成年代であれば試合中に罵声を浴びせたり、怒鳴ったりすることはありません。

それは彼らの試合のパフォーマンスは、コーチが伝えた結果であるわけで、それ以上は選手が自主性を持って考えなければならないからです。

テクニックや考え方は伝えることが可能ですが、実行するのは選手であってコーチではありません。
ですから私は試合中に選手に対して質問やアイディアは伝えますが、結論に結びつくことや、答えの一つを大声で怒鳴るようなことはありません。

叱るとすればチーム内の言われなきいじめであったりする場合で、後は選手の自主性に任せるしかないのです。

練習中は口やかましいですが、それもまた目的が違います。

答えを導き出すためのヒントを繰り返し伝えるのみです。

こうしろ、ああしろ、とどめは「そこでシュート!」なんて言ってしまうコーチにはなれません。

全ての試合に私が勝ちたいと思っても、選手が勝ちたいと思わなければ、試合には勝つことなどできませんし。

まして手を出すなんてことはあり得ないわけです。