カテゴリー: 審判のつぶやき

カードを提示する時

警告、退場でそれぞれイエローカード、レッドカードを提示するわけですが、初心者はカードを示すことにひとつ度胸がひつようになることがあると感じています。

その判断が本当に正しかったのか、選手から変な風にみられるんじゃないか等々、いろいろな考えが頭の中をグルグルとまわるかもしれません。

しかし、一度正しいと思ったら警告、退場はきちんと示さなければなりませんし、それが正しかったのかは後からでも考えてみればいいのだと思います。

カードを提示する時は、たいていその場所に素早く寄って、提示する人を呼んだり、輪の外に出したりして警告、退場を命じます。

ダーっと駆け寄って興奮している状態でカードを出すと、選手も興奮していますから「なんでー!」などとなったりすることもあります。

多くの審判の場合・・・まあ研修会でも言われますが・・・一呼吸おいてからカードの提示を行うようにしています。

私は「これに対してこうしたね」とゆっくり提示する時には言葉にして一呼吸おいてから提示するようにしています。

しかし、悪質なファウルにおいての警告、退場について、時には即座に提示することも必要になってくるため、このあたりも慣れが必要になってきます。

そして初心者の方も安心していいのは、ベテランだってプロだってミスはするのです。

ただし、同じミスを次回以降しないように反省することが必要で、そのために今日の試合はどうだったのかを振り返ってみる必要があります。

警告かな?退場かな?そう悩んだ状態で該当する競技者に近づき、退場を示す・・・たいへん辛いことですが、必要な場合には退場をさせなくてはなりません。

それもきちんと競技規則には書かれています。

退場となる反則(『第12条 ファウルと不正行為』より抜粋)

競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の7項目の反則のいずれかを犯した場合、退場を命じられる。
●著しく不正なファウルプレー
●乱暴な行為
●相手競技者またはその他の者につばを吐く
●意図的にボールを手または腕で扱い、相手チームの得点または決定的な得点の機会を、阻止する(自分のペナルティーエリア内でゴールキーパーが行ったものには適用しない)
●フリーキックまたはペナルティーキックとなる反則で、ゴールに向かっている相手競技者の決定的な得点の機会を阻止する
●攻撃的な、侮辱的な、または下品な発言や身振りをする
●同じ試合の中で二つ目の警告を受ける

これらが行われた場合には主審は競技者に退場を命じる必要があります。

またファウルの基準に関しては、ガイドラインに記載されていて、退場の基準も明確になっています。

不用意な、無謀な、過剰な力で

“不用意な”とは、競技者が相手に挑むとき注意や配慮が欠けていると判断される、または慎重さを欠いてプレーを行うことである。
●ファウルが不用意であると判断された場合、懲戒の罰則を追加する必要はない。

“無謀な”とは、競技者が、相手競技者が危険にさらされていることをまったく無視して、または結果的に危険となるプレーを行うことである。
●無謀な方法でプレーした競技者は、警告されなければならない。

“過剰な力で”とは、競技者がはるかに必要以上の力を用いて相手競技者を負傷の危険にさらすことである。
●過剰な力を用いた競技者には、退場が命じられなければならない。

“過剰な力で”相手競技者を負傷の危険にさらした競技者は、退場を命じる必要があります。
(警告に関しての基準も”無謀な”と記載されています)

これをファウルの質であったり、競技規則と照らし合わせて警告なのか退場なのかを瞬時に判断し、その行為に対しての罰則を定めて示すのですから、主審と言うのは本当にたいへんなことをしているわけです。

しかし、きちんと規則の適用ができなかった場合、選手や観客からの信用が無くなりますので、試合が荒れてしまいかねないということにもなります。

ですから審判研修会でよく言われる「頭の準備」をしてレフェリーに臨む必要がありますし、そこに知識として準備があれば選手や観客の信用も得やすいと考えます。

いわゆる一発退場となりますと重要事項報告書という審判報告書とは別の報告書が必要になります。

退場を命じるとこれに記載しなければならなくなるので、退場があると気が重くなることがあります(苦笑)

しかし、退場を命じなければならないシチュエーションで適応できないのであれば、やはり審判としては失格なのだと思います。

もし万が一「あー二枚目書くの嫌だから警告ね~」などということがあったとしたなら、それはレフェリーとして失格でしょう。

そんな仲間は一人もいないと信じています。

・・・が、重要事項報告書はほぼ「作文」ですので、本当に大変な作業だと思います。

退場を命じた競技者、被害を受けた競技者、そこで起こった事象、結果・・・それらを事細かに記載しなければなりません。

たいへんですが、きちんとした試合運営や、その後の審判活動を考えれば、必要なときに必要な競技規則の適用は間違いなく必要です。

走ったら次は判断をしましょう

昨日の「まず走りましょう」の続きです。

審判ですから当然ながら走るだけというわけにはいきません。

競技規則にかかれていることを施行しなければならないわけですから、そのプレーや行為、再開方法が競技規則通りかの判断をしなければなりません。

私も審判を始めた当初、直接フリーキックと間接フリーキックを理解するのに時間がかかりましたし、7+3の直接フリーキックを覚えるのにはさらに時間がかかった記憶があります。

サッカーでは(というか「でも」だと思います)速い判断と言うのが求められます。

どちらのスローインか、どちらのキックか、コーナーキックなのかゴールキックなのか・・・最後にボールに触った側の相手競技者側のチームのボールで再開となりますから、それを間違うわけにはいきません。

これを間違うと「なんだよ、あの審判見えてるのかよ!」と思われるきっかけにもなりかねませんので、素早くも間違わずに「毅然とした態度で」再開をする方向を指すようにします。

「毅然とした態度で」というのがポイントですが、初心者によくみられる迷った上に「なんとなく」とやってしまうと、選手は「この審判は信じられない」と思ってしまうのですが、毅然とやっていると一つは「そう見えたか」とか「仕方がない」と思われます。

間違ってはいけないのが「仕方がない」と思われるのが良いことではないけれども、一生懸命にやっている審判であれば、こらえる選手というのも多くいるのが事実です。

一生懸命にやっている姿に見えず、不安に再開方法を示したらどうなるかというと、選手から当然ながら文句も出てきますし、場合によっては試合が荒れるという状況にもなりかねません。

昨日の「まず走りましょう」と言っているのは、審判として最初の仕事として走ることで「この審判は事象を捉えようとしている」と選手に伝えることが必要であって、真摯に試合と向き合っている姿勢を表すひとつのことなのだと考えてください。

その走りがあったうえではじめて選手が審判の判断を尊重してくれるということになります。

たまに勘違いをしている審判がいますが「審判は絶対なのだから文句を言うな」という態度の人です。

主審の権限は大きく、勝敗を含めて最終となっていますから、絶対的な権限はあるといえばあります。

しかしながら、その判断がどう選手や観客に捉えられたのかというのは、自分なりに省みる必要があります。

あの判断は正しかったのだろうか、判断をしたときに選手が不服そうだったのはなぜだろうか、異議ばかりを言う選手がいたが彼はうるさいだけだったのか、それとももしかしたら自分や副審の位置が悪かったのではないか・・・自分を冷静に省みることで、見えてくるものがあるかもしれません。

よく選手が審判をリスペクトしてくれないと聞きますが、審判であるあなたも選手をリスペクトしていますか?と心に問いかけてください。

上から目線の審判では選手も反発するだけですので、同じフィールドの上に立つ一人の人間として接してみるのはどうでしょうか。

難しいのは警告や退場を出すときが最も難しい判断となりますが、ここに書いてしまうと長くなってしまいそうなので次回以降に書くことにしますが、せっかく審判として試合にからんでいるのですから、その時を選手と一緒に過ごすための心の準備と体の準備はして臨むべきだと思います。

ですから「まず走る」、その次に「判断する」ということで選手や観客からのまずは信用を得て、試合の進行をスムーズに行うことができるようにやってみましょう。

しかし、これだけ書いている私でも、やはりオフサイドの判定を理解していない副審には文句を言う時もありますし、主審に対してそこから見える?と尋ねることもあります^^;

ぐっとこらえるときもありますが、やはりフラストレーションがたまるものです(苦笑)

まず走りましょう

この土日に何人かの審判を見ましたが、本当にいろいろなスタイル(といっていいのかはわかりませんが)の方がいらっしゃって、いろいろと勉強をさせていただきました。

銀色、青色、緑色、テレビでは金色、本当にさまざまという感じでしたが、私のことですからやはりグラスルーツに絞りたいと思います。

グラスルーツでも銀色の方はいらっしゃいます。

そこも踏まえての話となりますが・・・気になったのは走ることはできるんだけれども、徐々に厳しくなっていく審判というのが一つ気になりました。

つまりは判定の基準がどんどん下がっていくというわけです。

当初はこれくらいの当たりではファウルにしなかったのに、最後の方はどんどん笛を吹いてしまっていて、試合がとぎれとぎれになってしまう感じでした。

審判の言い分としては「手のファウルが多い」というものでしたが、感想から申し上げると「ファーストファウルが基準だとすれば、どんどん基準が下がってしまっていて、最初と最後の基準が異なっていた」と選手からも観客からも見えたのだと感じました。

ファーストファウルが厳しければ、今日はこれが基準となって同じようなファウルは少なくなると思うのですが、どんどん厳しくなるということはある意味試合が荒れるかもしれないと途中で基準を切り替えたことにより、余計に選手からの不満を受ける形になったのではないかと思われるのです。

選手やベンチが大人でしたから荒れるようなことにはなりませんでしたが、もし壊れた場合にどうなるかというのは想像をしたくありません。

残念な審判もいっぱい見てしまいました。

まず走ることができない、または走ろうとしないという審判でしょうか。

危険なタックルがあり、笛を吹くのはいいのですが40mも離れていては説得力もなくなってしまいます。

けが人が出たとしてそこに歩いていくようなことがあれば、選手から不信感を持たれかねません。

そんな審判を残念ながら多く見ましたし、少年の現場でも見ることになったのは何かをしなければならないという自分の中のきっかけになっています。

前にも「審判は一人」というエントリーをしましたが、主審の権限は大きく、また競技規則にきちんと定められているのですから、たとえ4級であっても、初心者であっても競技規則を施行するための最低限の努力をしていただかなければなりません。

走ることができない、走ろうとしないなどというのは一番最初の課題でしかなく、それがもしできないというのであれば、残念ながら主審の資格を満たさない可能性があります。

見極めるなどという前に、まずは走りながらその事象を追い続けなければ当然選手は納得ができませんし、周りで見ている人たちも違和感を感じるはずです。

そして私はそういうレフェリーに「やめろ」とは思いませんが、どうするべきかは考えてほしいと思っています。

特に「走ろうとしない人」については、よくよく考えていただきたいと願っています。

私などはあと数年で「走ることができなくなる」というレベルになるでしょうから、走ることができるのであればまずは走ってみるということからスタートしていただきたいと思います。

Tリーグや大学リーグなどで主審を務めさせていただくときに、副審が学生になることがあります。

その彼らに必ず言うことですが「自分が選手としてフィールドにいる時、そのジャッジに納得がいくかということを心がけてください」とお願いしています。

私もプレーヤーですからまず選手の気持ちを考えています。

ですからレフェリーとしてフィールドに立った時、何をしなければならないか・・・競技規則の施行もそうですし、選手の気持ちもそうですが、サッカーという楽しい競技をするために自分がそこに参加するための理由をみつけて、ぜひレフェリーも楽しんでいただきたいと思います。