カテゴリー: 少年コーチのつぶやき

クラブチームの選び方

長くサッカーにかかわっていると(しかも、審判やコーチとして育成年代にかかわることも多いので)、仕事仲間や知り合いの方々から「うちの子、今度中学生なんだけれど、いいクラブチームないかなあ?なんて相談を受けることが多くあります。

その際に少なくとも「私が見て思うこと」というのをそういう方々に伝えていますので、それを今日はご紹介したいと思います。

まず第一に試合を見ていて思うのは、監督やコーチが選手に対して罵声を浴びせるようなチームはおすすめしません。

強豪であったとしても「あそこはこういう声掛けがあるよ」と言いますし、それでサッカーが嫌いになってしまったら元も子もありませんので、必ず試合や練習を見に行くことをおすすめします。

インストラクターという立場もあるため、社会人から小学生までさまざまな試合を見させていただいていますが、一種(社会人、大学)であっても未だに選手に対して「てめえなにやってんだよ!」なんて声もきかれますし、対等ではない関係の中で(コーチと学生なんてそうですよね)まるでパワハラのような怒鳴り声が聞こえてくることがまだまだあります。

そのようなところに、例え強豪だとしても選手たちが伸び伸びと楽しくサッカーを行うことは難しく、到底「厳しい」というのと「パワハラ」は違うわけで、根本的にその厳しさが異なってくると考えます。

中学年代においてはそのコーチや監督の言動が、後々の人格形成にもかかわってくると感じるため、到底そのような監督やコーチがいるところはおすすめをしません。

J下部のクラブに言ってみればわかりますが、練習の「厳しさ」は怒鳴るとかそういうことではなく、身体をイジメる、試合で使うテクニックを身に着けるための厳しさであって、選手に対してのコーチからの圧力ではないということがよくわかります。

前に子供がピアノを習っていた時のある先生(すごく著名な方です)の言葉を思い出します。

「わたし子供の頃に厳しい先生で、よく怒鳴られていたんですよね」とある保護者の方がその先生に聞いたところ、その先生は「ああ、そういうアマチュアな指導者と呼ばれる人がいるんですよ。つまりは自分の伝えたいことを子供達に伝えられないから、できないことに対して怒鳴るんです。子供たちは素直ですから、わかる言葉で伝えるだけでいいんですよ。それがプロです」という言葉でした。

なるほど、怒鳴る人と言うのは結局のところ選手たちに伝えきれないことを怒鳴ることで「言うことを聞かせよう」としているだけのことであって、例え強豪だとしてもそのコーチはアマチュアでしかないわけだということです。

クラブチームは決して安くない会費を払うことになるわけですから、アマチュアの指導者であってはならないと考えます。

その観点から言うと、本来クラブチームではコーチとしてプロフェッショナルが求められるが、中にはアマチュアのコーチがいて、伝えられないことを怒鳴ることで発散するということになるわけです。

まあ、私たちの世代には怒鳴られて育てられたため、それしかできないという人がいますが、それはいい加減考え方を改めなければならないというわけです。

さて、ではどういうクラブをおすすめするかといえば・・・「選手にあったレベルで、楽しく行うことができるクラブ」ということになります。

これは極めて難しいことなのですが、しかしクラブは一つしか選ぶことができないため、私がヒントとしてお伝えするのは、優れた指導者は〇〇と△△と××にいます、レベルはこうですとお伝えして、実際に見に行くことをおすすめするのです。

優れたコーチというのは決して強豪だけではなく、市井にいらっしゃいますのでT-3であろうとも選手の育成を考えた指導をしている監督やコーチがいらっしゃいます。

将来、プロを目指すならT-1や関東なんて考えますが、あまりにも多い選手数に、試合の最中に見学や声出しだけなんてのは、ただただ残念な時間だと思います。

私であれば、声出しの時間はもったいないのですから、別のところで練習や練習試合をした方がいいと思います。

ただし、それが例えば関東大会に進出するところであったり、全国大会出場を決めるという大会なら別ですが、リーグ戦であるとしたなら、そのような応援は不要だと考えます。

まして、そうした強豪はパイの数は決まっているわけですから、セレクションが必ずありますし、確実に入ることはできないわけです。

セレクションに通れば素晴らしいことですが、もし中学年代で成長が一時止まってしまい(もしかしたら高校年代で伸びるかもしれない)試合に出られることがなかったりしたら、それはそれでもったいないため、どこを目指すのかという明確な目的は必要だと感じます。

例で言えばとうとうこの四月で国士舘大学の四年生となる澁谷雅也の例を挙げますが、彼は江戸川区の中央SCからジェファU-15を経由して國學院久我山へとすすみました。

彼は小学校の頃から「プロになりたい」という明確な目標があり、小学校6年生の時にはJ下部にチャレンジしましたが叶わず、しかしその後の努力で高校時代にはJリーグのチームからも目を掛けられるような選手になっています。

今年は四年生になるため、プロとなる最後のチャンスだと考えますので、彼の小学校からの夢がかなうのか見届けたいと思っています。

彼のように例えばプロになりたいという明確な目標があればいいのですが、そうではなく「できるならプロになってみたい」とか、プロは無理だけれど自分のできる一番いい条件でやってみたいとか、その個人のレベルにあったチーム探しというのがキーになると思っています。

T-3のあるチームでも高校の強豪に入ってプロを目指した子も見ました。

残念ながらうまくいかなかった子もいましたし、アジアでプロサッカー選手をやっている子もいます、ですので今だけを考えるのではなく、将来どうしたいのかという目標設定をしてみて、そこに到達するための中学年代を過ごすクラブを探してみようという目標を立てるのが「自分にとっていいクラブ」を探すコツだと考えます。

そこに保護者が役に立てるとしたなら、大人の目線であのコーチはプロフェッショナルなのかという目であり、育成をどこまで本気で考えているのか(コーチの中にはその順位が生活につながるような人もいるため、目先の勝利しか考えないような人もいらっしゃるようです)ということを、大人の目で見てアドバイスをすることができればと思います。

少し抽象的な部分もありますが、ぜひお子さんにあったクラブチームがみつかるようにと願っています。

育成年代でコーチの言葉はどう響くか

審判で、観戦者としていろいろなカテゴリ、試合を見ているのですが、まだまだ育成年代のコーチの言葉が乱暴だと感じることが多くあります。

鼓舞しているという方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら端から聞いているとそうは聞こえないなんてことも多く、自分だったらもしかしたらめげていたのではないかなどと考えてみたりもします。

私が学んだコーチたちは練習では厳しいことが多いように感じました。

練習の時にさまざまな問題をつぶすことを重要視していたため、試合では全くと言っていいほど怒鳴るとか、文句を言うとかはありませんでした。

交代後にコーチの前に立たされて説教なんてことは全くありませんでしたが、ミスを繰り返した時などにはあっさりと変えられるので、自分が気が付かなければ次の機会はなかったように感じました。

試合後のミーティングでは場合分けによったコーチングがされるわけですが、例えば得点を取られたシーンの再現を作戦ボードで再現しながら、その時の選手の気持ちであったり、フォーメーションによる気づきがあるようにコーチングをしていました。

それもこれも今自分がわかるから気が付くことなのですが、自分が育成年代の時には全く気が付かなかったわけです。

しかもぴったり私の育成年代にかかわっていたコーチすべてが同じような方だったのは、それぞれ札幌や北海道、JSL経験のあるコーチでプロフェッショナルの方がかかわっていたからなのだと思っています。

自分はレフェリーのミスジャッジには結構厳しかったりしますが(競技規則を知らないということに対して)、判断ミスなどに対しては言いませんし、なにより競技者に対しては問いかけはしてもクレームをつけるようなことはありません。

それは自分がしていただいたことへの感謝からです。

こうしたコーチが増えてほしいものだと切に願っています。

長崎市サッカースクール参加のご報告

記事中にあります通り

同イベントは元Jリーガーの高木成太さんと、J1仙台の兵藤慎剛選手(いずれも国見高出身)が「プロとしての経験を長崎に還元したい」と県内のサッカー関係者に協力を募り、2017年に初開催。3回目の今年はNBC長崎放送の主催で、過去最多となる10人の現役プレーヤーが参加した。

ということで、高木成太が発起人の一人であり、その関係でお手伝いにいってきた次第です。

参加してくれた子供達、Jリーガーの皆さん、スタッフの皆さん、関係するすべての方に感謝申し上げます。