カテゴリー: 審判のつぶやき

レフェリーの上から目線はやめましょう

といいながら、先日の反省会で「プレイヤーズファーストではない!」と撃ち落された私です・・・^^;

なんていうのはおいといて・・・主審をやっている時に、選手との会話はどうしていますか?

黙ったまま黙々とこなしています?それとも選手とコミュニケーションをとりながらやっています?

私はその試合であったり選手のキャラクターで使い分ける方ですが、基本的に会話を好みます。

納得がいっていないであろう選手であったり、ファウルを流した選手に「そちらのチームに流れたのでそのままプレーを続けました」などと、こそっと伝える時があります。

伝えた時に「オッケー」とか親指をたてたりしてくれれば、ああこのプレーヤーはとっつきやすいということで、そのあとも説明をしたりします。

反応がないプレーヤーに関しては、その後はあまり話しかけても嫌がられる恐れがあるので、必要になった時だけ話をしにいくことにしています。

特にレベルが高くなってくると、会話を疎んじるプレーヤーが多くなってくるので、そこもまた気をつけねばならないところだったりします。

話をする時にあなたは「レフェリーだぞ!」という態度で話をしていますか?

私は基本的にそういう態度を取らないで、同じフィールドにいる者として話をします。

唯一レフェリーだぞと示すのは、危険なファウルがあって注意をしなければならない時などですが、その場合には深呼吸をしてから話をするようにしています。

イエローカードやレッドカードを出す場合には特に注意をして、冷静になってから出すようにしています。

そうしないと「この審判は選手をリスペクトしてくれない」と思われ、その後のゲーム進行に支障をきたす場合があります。

最悪の場合は試合が荒れてしまって、主審ではゲームコントロールできないことになることもあります。

これはマンマネジメントができていない証拠で、大人な選手だったりチームの場合にはマンマネジメントをしないでも済みますが、優勝がかかったような試合であれば大人な選手やチームであってもマンマネジメントが必要になるような場合にもなるため、こうした部分は気を付ける必要があります。

ある社会人の大会で私は選手から「笑顔で応対しながらもファウルには厳しいレフェリー」と評価してもらいました。

笑顔で応対しているので少なくとも選手たちには不快な思いをさせていなかったということのようです。

しかしながら、危険なファウルに対して警告も出しましたし、必要なことは毅然とした態度で行わねばなりません。

日ごろから笑顔などでレフェリーをするようにつとめてはいますが、それでも周りからは「元の顔が恐い!」などと言われております(特に若手!(笑))

中身は極めてくだけた奴なのですが、危険なファウルに対してはきちんと対処しますので、ご理解をお願いいたします。

第11条 オフサイド

まずは競技規則の第11条全文をお読み下さい。

オフサイドポジション

オフサイドポジションにいること自体は、反則ではない。
競技者は、次の場合オフサイドポジションにいることになる
●競技者がボールおよび後方から2人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い。

競技者は次の場合オフサイドポジションにいないことになる。
●競技者がフィールドの自分のハーフ内にいる。または、
●競技者が後方から2人目の相手競技者と同じレベルにいる。または、
●競技者が最後方にいる2人の相手競技者と同じレベルにいる。

反則

ボールが味方競技者によって触れられるかプレーされた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっていると主審が判断した場合にのみ罰せられる。
●プレーに干渉する。または、
●相手競技者に干渉する。または、
●その位置にいることによって利益を得る。

反則ではない

競技者が次のことからボールを直接受けた時はオフサイドの反則ではない。
●ゴールキック
●スローイン
●コーナーキック

違反と罰則

オフサイドの反則があった場合、主審は違反の起きた場所から行う間接フリーキックを相手チームに与える(第13条-フリーキックの位置を参照)。


実はオフサイドの部分というのはこれだけしか書かれていません。

しかし、これが大論争となるのは解釈の変更だったり、プレーに干渉するという部分がはっきりさせたことによる定義等の違いから、さまざまな誤解や勝手な解釈がうまれるからこそ問題になるのです。

2013年6月25日の日本サッカー協会の通達にはこう書かれています。

競技規則の改正及び評議会の決定

1. 第11条 - オフサイド 競技規則の解釈
“相手競技者に干渉する/その位置にいることによって利益を得る”についての議論
(FIFA からの提案)

現在の文章
“第11 条-オフサイド”の考え方により、次の定義が適用される
(…)
●“プレーに干渉する”とは、味方競技者がパスした、または味方競技者が触れたボールをプレーする、あるいはこれに触れることを意味する。
●“相手競技者に干渉する”とは、明らかに相手競技者の視線を遮る、相手競技者の動きを妨げる、しぐさや動きで相手競技者を惑わす、または混乱させると主審が判断し、それによって相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。

新しい文章
“第11 条-オフサイド”の考え方により、次の定義が適用される
(…)
●“プレーに干渉する”とは、味方競技者がパスした、または味方競技者が触れたボールをプレーする、あるいはこれに触れることを意味する。
●“相手競技者に干渉する”とは、明らかに相手競技者の視線を遮る、またはボールへ向う相手競技者にチャレンジすることによって、相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。

現在の文章
“その位置にいることによって利益を得る”とは、既にオフサイドポジションにいて、ゴールポストやクロスバーからはね返ってきたボールをプレーすること、または既にオフサイドポジションにいて、相手競技者からはね返ってきたボールをプレーすることを意味する。

新しい文章
“その位置にいることによって利益を得る”とは、次のようにボールをプレーすることを意味する。
(ⅰ)ゴールポストやクロスバー、または相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。
(ⅱ)相手競技者が意図的にセーブして、はね返った、方向が変わってきた、またはプレーしたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。

相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。

理 由
現在の表現ではあまりに解釈に幅があり過ぎ、また十分に的確とは言えず、多くの議論を引き起こしている。新たな表現は、実際の試合の状況により即したもので、ボールがはね返った場合、方向が変わった場合、あるいは意図的にセーブされた状況に関しての混乱を排除することになる。

<日本協会の解説>

今回の改正は条文の変更はないが、FIFAのタスクフォース Football 2014で議題とされていた“オフサイドの解釈の検討”を受けて、より具体的で明確なものが示されることになった。

“相手競技者に干渉する”という新しい文章は、表現を簡潔にしたものであり、その解釈や適用については現行通りで変わることはない。

“その位置にいることで利益を得る”ことの解釈では、
(ⅰ)ゴールポストやクロスバー、相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきたボールをプレーした場合
(ⅱ)相手競技者により意図的にセーブされたボールをプレーした場合と、試合の状況によって2つに分けた文章となったが、どちらの場合も既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーした場合にはその位置にいることによって利益を得たことによりオフサイドとなり、現行と変わることはない。

また、守備側競技者が意図的にプレーした場合(それが思いどおりのプレーではなかったとしても)、そのボールを既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者が受けたケースでは利益を得たという判断をしないことが示された。これは改正理由にあるように、解釈の幅を狭めより明確にすることを意味していると考えられるが、現行の日本での解釈や適用についても、一部修正が求められることになる。


ポイントはいくつかあります。

まずは「プレーに干渉する」と、「相手競技者に干渉する」です。

①プレーに干渉する=「味方競技者がパスした、または味方競技者が触れたボールをプレーする、あるいはこれに触れることを意味する。」

②相手競技者に干渉する=「明らかに相手競技者の視線を遮る、またはボールへ向う相手競技者にチャレンジすることによって、相手競技者がボールをプレーするまたはプレーする可能性を妨げることを意味する。」

①では攻撃側の競技者がプレーに干渉した場合のことを指しています。
条文の「競技者がボールおよび後方から2人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い。」に当てはまった状態で、プレーをするまたは触れた場合にオフサイドになるということです。

②では攻撃側競技者から見た相手競技者へなにをしたかという部分を指しています。
●相手競技者の視線を遮る
●ボールへ向かう相手競技者にチャレンジする
これらによって相手競技者がボールをプレーする or プレーする可能性を妨げる
ということがオフサイドになるということです。

 

そして残りのポイントですが「その位置にいることによって利益を得る」と、「意図的にセーブ」、「意図的にプレー」です。

③その位置にいることによって利益を得る=
(ⅰ)ゴールポストやクロスバー、または相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。
(ⅱ)相手競技者が意図的にセーブして、はね返った、方向が変わってきた、またはプレーしたボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者がプレーすること。

④意図的にセーブ=「意図を持ってゴールに向かってくるボールを防ぐこと。」

⑥意図的にプレー=「意図を持ってプレーをすること。」

④(ⅰ)については、
●(ゴールポスト or クロスバー or 相手競技者から)跳ね返った or あたって方向が変わってきたボール
を、既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者がプレーをした場合にオフサイドになります。

④(ⅱ)については
●相手競技者が意図的にセーブして(はねえった or 方向が変わってきた or プレーしたボール)
を、既にオフサイドポジションにいる攻撃側競技者がプレーをした場合にオフサイドになります。

⑤については例を出しますと
●センタリングされたボールに体を投げ出したり、足を出したりする
ことであって、ボールを保持することを目的としたプレーではない事象を指しています。
(えーいままよと、とにかくボールを入れさせないことをする時を指しています)

⑥についてが一番面倒なことになるのですが、⑤とは異なりボールを保持するための行動を指していて、例えば
●インターセプト
●ヘディングによるクリア
などが当たり、これを行った場合にオフサイドにならないということが書かれています。

つまりは下記の
「相手競技者が意図的にプレーした(意図的なセーブは除く)ボールを、既にオフサイドポジションにいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない。」
という部分がそれにあたり、例えば意図的なインターセプトや意図的なヘディングによるクリアをした(ただし意図的に体を投げ出したり、足をだしたりすることを除く)ボールを、既にオフサイドポジションいる競技者が受けたとしても、その位置にいることによって利益を得たとは判断しない、となりその事象が「セーブ」なのか「プレー」なのかでオフサイドとノットオフサイドが決まるわけです。

とまあ、長々と書いてみたわけですが、先日のオフサイドの適用ミスは単純な話で、

競技者は、次の場合オフサイドポジションにいることになる
●競技者がボールおよび後方から2人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い。

に全く当てはまらない、ボールが蹴られた瞬間にはノットオフサイドであるにも関わらず、副審がボールを見ていてラインを見ておらず、ボールが蹴られた後にラインを見たらFWが飛び出ているからオフサイドと判定したことなわけで、副審の技量不足でしかありません。

アクティブレフェリーの場合は、開幕前研修会などでやかましくオフサイドについて叩き込まれるため、このようなミスをすることは少ない(あくまでも少ない)と思いますが、帯同の副審でなんとなくやっているような方の多くはそういう訓練や研修を受けていないため、オフサイドの定義をそのプレーに当てはめていないことが多々あります。

先日は練習試合でしたから「ちゃんと見てよ」となりましたが、某リーグでは全く同じ形で3度オフサイドと取られたため、4本目は明らかに遅れてからボールに触ったのですが、「DFより前でボールを受けたから」という副審の勝手な解釈でオフサイドにされ、都合四回のゴールチャンスを逃したことで試合後に運営するリーグにクレームを入れたことがあります。
(副審についてはきちんとヒアリングをしたので間違いがありません)

前にレフェリーは一人というエントリーを書いたことがありますが、少なくとも主審であれ副審であれ務めた場合には、競技規則の適用を間違えてほしくないというのが「選手として」の私の意見です。

審判としてはとにかく「間違えない」「見極める」ということに主眼をおいて、選手たちが納得のできる試合運営を行うことができるように努力したいと思います。

審判部として考えなければならないこと

現在、台東区サッカー連盟では5/8、15日に行われるサッカーとフットサルの4級審判員の受講申し込みを受け付けています。

で・・・本日、お問い合わせの電話をいただきました。

「外国人で話すのは少しできるのですが、日本語の読み書きができないので受講できるか確認をしたいのですが・・・」
というものでした。

話をきいてみると少年チームに選手がいるお父さんで、審判をとることになったため受講したいということでした。

それならなんとかしなきゃと思い、東京都サッカー協会に電話をし、台東区連盟理事長に電話をし、まずは受講の確認をしました。

東京都からは国籍については全く問題がないが、通訳などに関しては配偶者やチームの関係者などから受けてもらうなどの対処しか考えていないということでした。
台東区としては通訳ボランティアなどを探してみるが、まずは配偶者ができないかの調査と、それでもいなければ私の裁量で構わないとのことで言質をいただきました。

結果としては配偶者の方が通訳として入ることにして、試験も読み上げ式で行うことで決着をみました。

これで思ったのは、少なくとも英語で受講できるような仕組みを考える必要もあるのかな?と思った次第です。

外国人の方々が増えてきている現在、こういうことも東京の関係者は考える必要があるのかもしれません。