カテゴリー: 審判のつぶやき

審判更新講習会はぜひとも座学研修で!

先日、台東区でサッカーおよびフットサルの4級審判講習会を実施いたしました。

しかしながら残念なことに参加者がとても少ない状態で、座学研修の厳しさを目の当たりにしている状況です。

この二年間「更新講習会は座学研修で」とアピールしているのですが、それでも人数が少ないのは残念なのですが、実はもっと残念なのは「更新だけなんだからe-ラーニングで充分だろ」という考え方なのです。

e-ラーニングでは絶対にできないことは以下の通りです
・実際にグラウンドで起きている事象を、生の声で聴くことができない
・気軽に質問ができない

はっきり書いてしまいますが、4級審判員の多くの方が「子供がサッカーやっていて、チームで審判が必要になったから取った」「コーチをやっているので取った」「サッカーチームの審判を登録しないといけないので取った」というのが大半だと思っています。

ですから本音のところでも「持ってればいいんでしょ」と思われるのも仕方がないと思っています。

だけれど私はそれは「もったいない」と思うのです。

どんなきっかけにせよ審判資格を取って更新をするのですし、ましてや同じ料金となるわけですから絶対に座学講習をおすすめします。

間違いなく得るものの量が違いますし、e-ラーニングはただ絵や文字を見るだけですし、本気で理解をしようとしなければ頭には入りません。

しかし、更新講習会ではインストラクターがそれぞれ工夫をして考え、理解しやすいようにしたり、投げかけたりして講習会をすすめていきます。

楽しいものもあり、まじめなものもあり、少人数だとディスカッションもあり・・・競技規則の理解を深めるために、いろいろなことが行われています。

繰り返しますが、それらは絶対にe-ラーニングでは得られません。

市区リーグが多くおこなわれているところは、ローカルルールも交えるので市区の更新講習会に参加しなければならないとしているところもありますが、それはある程度以上におおきな組織でなくては難しいものがあります。

しかしながら小さな組織であっても、その市区の取り組みは役員会や総会でも申し上げていますが、審判員個人個人と話をする機会は限られている中で、更新講習会は貴重な意見をうかがうことのできる機会となっています。

ですから同じことばかりかもしれませんが「座学の更新講習会を受講してください」というのが工藤であり、台東区サッカー連盟(東京都サッカー連盟には確認していませんが)の願いでもあります。

高いプレーレベルを持った審判の登場と、競技規則と

12月3日、味の素スタジアムでFC東京と東京武蔵野シティFCの練習試合が行われました。

そのレフェリーに立ったのは、拙Blogでも紹介したことのある御厨貴文さんでした。

【紹介記事】FC東京と東京武蔵野シティFCの練習試合は主審がサプライズ!? なんとレフリーは御厨貴文さん(2016/12/03)-タグマ
【拙Blog】Jリーガーからレフェリーへ!

Jリーグのトップレベルでのプレー経験がある御厨さんのレフェリングを見ることはできませんでしたが、当日にプレーヤーとして参加していた選手に感想を聞くことができましたが、「選手の気持ちや、プレーの強さを理解してくれる元Jリーガー審判がもっと生まれてほしい」というもので好評だったのだと思います。

Jリーグのレフェリーのレベルがどうこうというわけではないのですが、プレーヤーとしてはそのベースにあるサッカー経験が気になることもあるのは事実です。

プレーレベルに応じた危険なファウルを察知することができるのかというのは、重要なファクターになると思っています。

例えば、私が経験したものではボールを保持してドリブルをはじめ、あと数歩でトップスピードという前傾姿勢の時に、「トン」と背中を押されただけで前方へ転倒の危険性があります。

しかしながらレフェリーはサッカーコンタクトだと認識してファウルにしない場合、私はストレスがたまることになります。

実際に私は転倒しそうになり、相手選手へ「危ないじゃないか」と言いましたし^^;

ところが相手競技者もレフェリーがファウルとしないのですから「危ないだろ」と言ったとしても「レフェリーが取ってないんだから問題ないんだよ」となります。

ですが、意図を持ったファウルであるのは事実であり、無謀に行った場合には警告が示されることになります。

そうしたある程度レベル以上のプレーヤーとしての経験が、レフェリーにはない方がまだまだ多いため、そうした経験を持ったレフェリーを増やしていくのも日本サッカーには必要なのだと感じます。

先ほどのプロサッカー選手の話で、気になることがありました。

「指先で押したとしても、ボディコンタクトになるので厳密に言えばファウルになる」と言っていました。

その時は時間がなかったので説明ができませんでしたが、指先でチョンと押すくらいでは「直接フリーキックとなる反則」にならないのは、競技規則に書かれています。

競技規則のP.81を見てみましょう。

ファウルと不正行為

12条
ボールがインプレー時に反則や違反があった場合にのみ、直接、間接フリーキックまたはペナルティーキックを与えることができる。
1. 直接フリーキック
競技者が次の反則のいずれかを不用意に、無謀に、または、過剰な力で犯したと主審が判断した場合、直接フリーキックが与えられる:
• チャージする。
• 飛びかかる。
• ける、またはけろうとする。
• 押す。
• 打つ、または、打とうとする(頭突きを含む)。
• タックルする、または、挑む。
• つまずかせる、または、つまずかせようとする。
身体的接触を伴う反則が起きたときは、直接フリーキックまたはペナルティーキックで罰せられる。
• 不用意とは、競技者が相手に挑むとき注意や配慮が欠けていると判断される、または、慎重さを欠いてプレーを行うことである。懲戒処置は必要ない。
• 無謀とは、相手競技者が危険にさらされていることを無視して、または、結果的に危険となるプレーを行うことであり、このようにプレーする競技者は、警告されなけれ
ばならない。
• 過剰な力とは、競技者が必要以上の力を用いて相手競技者の安全を危険にさらすことであり、このようにプレーする競技者には退場が命じられなければならない。

ここに書かれているのは、直接フリーキックになる7つの条件です。
「チャージする」「とびかかる」「ける、またはけろうとする」「押す」「打つ、または打とうとする」「タックルする、または、挑む」「つまずかせる、または、つまずかせようとする」
先ほどの「指で押す」というのは「押す」という部分に当たります。

しかし、ファウルの判断では、それらが「不用意に」「無謀に」「過剰に」行われたときに直接フリーキックが与えられることになりますので、「指でチョンと押す」という行為は「直接フリーキックとなる反則」になることはありません。

厳密に言えば「反則」であるとも読み取ることはできますが、直接フリーキックとなる反則ではないため、試合には影響を与えることのないボディーコンタクトが問題ないのは議論に値しないため避けますが、彼の意図しているであろう「反則」とは試合に影響を与える反則と言葉の中で読み取ることができたので、競技規則に書かれているものは違いますと伝えたいと思います。

・・・ので、関係者の皆さん彼に伝えてあげてください^^;

審判の笛について

審判に欠かすことのできないものの一つに笛というものがあります。

たくさんの笛がありますが、ここでは私が通常見聞きするものと、最後に私のお気に入りの笛を紹介します。

Jリーグで使用されているのはmoltenのバルキーンです。

私は持っておらず、今後買おうかな?とは思っていますが、4500円ほどするものですのでここ!という時に使う笛なのかな?と自分では思っています。
音は素晴らしいと思いますし、アクティブレフェリーでバルキーンを持っていると「おお~」という感じでしょうか。

最近はコルクレスが主体になっていますが、私が過去にやっぱりいいなあと思ったのは、葛飾区にある「野田鶴声社」のホイッスルでした。

写真は2002年の日本と韓国で共催したワールドカップの記念モデルですが、ワールドカップでも使われてきたホイッスルはとても甲高く澄んだ音で、世界一のACME社から製造を依頼されたのも納得の一品です。

そもACME社といえば、映画「タイタニック」で船員が吹いていた笛の製造会社でもあります。
もちろんレフェリー用のコルクインタイプのホイッスルもいい音でした。

老舗メーカーの音を楽しむにはぜひという製品です。

そして、どちらを使っている審判が多いのか?という一方がmoltenのドルフィンです。
私もこれを使うことが多くなっていますが、通る音が素晴らしい一品です。

写真はKPという咥える部分にゴムがついているタイプのものです。

もう一方はモルテンのFOX40です。
私も一時使っていましたが、少し小さいため(私の手が大きいという方もある(笑))現在は使っていません。

しかし、音は良いと思いますし、モルテンというのはいい笛を売っているなあと感じます。


そして最後に私が愛する一品ですが、老舗メーカーであると紹介したACME社のTornado 2000です。
UEFAでも使われていたもので、東京都サッカー協会の牧野委員長が指導部でインストラクターをなさっていた際、私のTornado 2000をみつけて「吹いたことないやつだね。どんな音か吹いていい?」と言っていただいた品です。
tornado2000
とても通る笛ですし、なにより持っている人が少ないので、隣り合ったグラウンドがある場合には、まずかぶることがない笛です。

グラウンドが隣り合っている場合、笛を変えることによって隣のグラウンドの笛と間違えないように、審判同士が「どの笛を使う?」なんて相談をしたりします。

今年の東京カップの清瀬内山で、元Jリーガー審判の御厨さんとも清瀬内山で「なに使います?」と相談をしました。
※彼はバルキーン、私はTornado 2000にしました

ところがこのTornado 2000なんですが、日本では入手困難でAmazonでも売り切れが続いている状況です。

なので、そのうち米国から仕入れて売ってしまおうかなどと考えていたりします(笑)

本当にいい音ですので、おすすめです。