『少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿)』への審判からの反論(3)

『少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿)』への審判からの反論(2)の続きです。

その前のエントリーはこちらです。
『少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿)』への審判からの反論

少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿) マイボ 2016/06月20日(月)
こちらの寄稿文に関しての審判としての反論です。

(2)では審判の組織や、アクティブレフェリーについて書きました。

そこで指導者と言われる方に質問となります・・・

では、こちらに寄稿された方はそうした東京都少年サッカー連盟やブロック、市区連盟のような審判部・委員会になにかアプローチされたのでしょうか。

そしてアプローチをしたとしたなら、どのようにするべきなのか、どうやって協力体制を作るのか話をされたのでしょうか。

私は文面からしか判断ができませんが、あのようなことを書く人がとてもそういう行動に出るとは考えていません。

ちなみに台東区では少年であろうが成年であろうが疑問、質問などなんでも競技規則に関してであれば私に質問が来ます。

「このあいだこういう状況で・・・どう思う?」などというもので、簡単に答えられるものから、状況が判断しにくいもの、果ては愚痴まで聞くことになりますが、それらのすべてが参考になります。

そしてそれを東京都サッカー協会のインストラクターや、アクティブレフェリーの仲間などと共有して、それぞれ意見の交換や展開をします。

そこには私のようにコーチもたまにするというような方もいらっしゃいますので、そういう方のコーチ目線の話などということも聞かれます。

それが審判レベルの向上、ひいては試合レベルの向上につながるものだと思って、そうした情報交換などを行っているわけですし、さらに私の場合はコーチたちとも話し合いをして、今後どうしたらいいのかというのを相談させていただくことがあります。

もっとも新米インストラクターですから今は模索中のことが山ほどあり、ようやく少年のゲームにいくことができるようになったりしたわけで、これからはもっと積極的に市区、ブロックのために動いていかねばならないと思っています。

で、寄稿した方にお尋ねしたいのは、審判側にこういう人間がおりますが、話をしたことがありますか?と。

私は審判とも、指導者とも、運営ともそれぞれ話す機会をいただいておりますし、審判インストラクターとしてもさまざまな意見を聞くことができる環境におります。

それをひとくくりに

そして、ルールを知り、サッカーの試合を裁くことに酔いしれた審判が、自分の価値観でジャッジしていることは大きな問題だ。

などとは言語道断だと考えます。

敢えて書かせていただきますが、自分の価値観のみでやっているのはあなたです。

私たちは自分の価値観にならないよう、それぞれ意見を交わして、それぞれにとって良い環境を作るべく努力をしていっています。

それを否定するような言動は一切許すことができません。

真剣に審判活動に取り組んでいる審判たちに失礼です。

もちろん中には勘違いをしたような審判もいるかもしれません。

しかし、そういう審判をなくしていき、よりよい試合を作るためのレフェリーを育てる活動をしております。

そういう中で私が絶対に許すことができないのは、引用している部分です。

さらに書きます。

指導者と呼ばれる人々の多くに、審判をリスペクトしているとは到底思えない言動をします。

それが育成年代を見る指導者なのか?と問いたくもなりますし、あまりの異議のひどさに退席を命じられるような方もいらっしゃいます。

もっと言えば、試合中にずっと怒鳴り散らして自分の思い通りいかなければ罵倒するような”指導者”がいるわけです。

これはどう考えるのでしょうか。

それが全部とは言いませんよ。

しかし、残念ながら多くのチームでみられるのもまた事実です。

指導者も審判も、まずは競技者が試合をする環境をつくるべきですし、そのためのコミュニケーションも必要ですが、まずは互いをリスペクトするべきですし、いけないものはいけないと言うべきです。

私は指導者と審判はもっとコミュニケートすべきだと考えます。

それは育成だからとかなんとかではなく、まずプレイヤーが第一であるという考え方だからです。

最後に「世界基準の前に、そこにいる子供のレベルを考えてください」。

そしてその子供達がすべてではないということを知ってください。

『少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿)』への審判からの反論(2)

『少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿)』への審判からの反論の続きです。

少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿) マイボ 2016/06月20日(月)
こちらの寄稿文に関しての審判としての反論です。

第一回は反論というよりはコーチの問題を出してみましたが、今回は審判の組織がどうなっているのかということと、指導者がそこにどういうアプローチをしているのかということです。

ここでは東京都少年サッカー連盟を例をだします。

東京都の場合は16ブロックに分かれており、その運営はそれぞれ所属する市区連盟のチームから役員が出て運営されています。

審判はといえば、市区連盟の審判部や審判委員会と、ブロックの審判委員会が設けられており、そこが東京都少年サッカー連盟の審判委員会へとつながる形になっています。

一般に市区連盟の審判員は、少年の場合お父さん審判となります。

市区連盟の割当や、東京都サッカー協会からの割当というのは市区連盟ではあまりなく、トレセンなどになってはじめて市区連盟から帯同として審判が付くのが一般的です。

つまり、市区連盟のお父さん審判であったり、そこに協力している審判に対して、件のコーチはまずクレームをつけているわけですが、ここに市区連盟の審判部がかかわらない、もしくはかかわりにくい現状があります。

一つは、東京都サッカー協会の下部組織に所属していないことが挙げられます。

前にも紹介しましたが、東京都サッカー協会の傘下として東京都少年サッカー連盟があり、16ブロックにわかれているところまでは東京都サッカー協会が管轄していることになります。

しかしながら、市区連盟はそれぞれの市区が独自に運営しており、多くが任意団体であったりするわけで、運営を無償ボランティアでおこなっているところがほとんどです。

その中で、私のような審判でやってきた者が審判部の役員としてインストラクターとなり、市区連盟の審判を見ることになります。

ちなみに私は東京都サッカー協会所属の審判インストラクターであり、市区連盟所属ではありませんが、私の場合は市区連盟推薦という立場でお世話になっています。

ですから、その市区連盟に所属するインストラクターがどのようにして動いているかというのが重要ですが、もうひとつ問題があります。

それは、社会人連盟と少年連盟が分裂していることが多いというものです。

東京都サッカー協会所属のインストラクターで市区連盟推薦に限ってですが、出身母体を聞くと「○○区社会人連盟」「××区少年連盟」などと分かれていることが多く、社会人所属の方はその市区の少年を知りませんし、逆もまた知らないことが多くあります。

そこで審判部内部の連携を取ることができず、苦労して審判だけでも連携しようとしているところもあります。

そうして、市区連盟に所属しているチームの市区大会などを見させていただき、審判にアドバイスをさせていただく機会をもうけさせていただくのです。

最初から素晴らしい審判などいないわけですが、それを少しでも良いものにするために、インストラクターだけではなく、市区連盟は考えています。

その上に少年ですとブロックがありますが、こちらのブロックの役員の方も多くが東京都サッカー協会で活躍されていた、されている審判の方々が所属しています。

そして、ブロック大会などに積極的に参加をして大会の反省などのなかに審判を入れていることもあります。

さらに上の東京都というくくりになると、私達アクティブレフェリーが必要とされる大会がでてきたりしますが、ここで審判ができるレベルの方をスカウトして、東京都サッカー協会所属のアクティブレフェリーなどに推薦をするわけです。

アクティブレフェリーに触れますが、少なくとも年に一回のフィジカルテスト、年三回の筆記テストがあり、筆記テストと合わせて競技規則の伝達講習会や、開幕前の規則講習会などが行われます。

そうやって審判の質を上げるために東京都サッカー協会は努力をしていますが、全てのアクティブレフェリーがパーフェクトではありませんが、少なくとも一定の基準を満たした東京都サッカー協会からの派遣審判員ということになります。

S3級アクティブの場合は主に
≪主審≫
●東京都チャンピョンシップ(東京カップ)一次戦
●東京都民大会(成人)
●市区町大会
●東京都大学サッカー連盟 三部、四部
●東京都大学サッカー連盟新人戦
●高円宮杯 U-18 T-3
●高円宮杯 U-15 全都
≪副審≫
●東京都チャンピョンシップ(東京カップ)一次戦、二次戦
●東京都社会人一部、二部
●東京都民大会(成人)
●東京都大学サッカー連盟 一部
●高円宮杯 U-18 T-1
●高円宮杯 U-15 トップ
というのがあり、それ以外には関東社会人、U-18、U-15などがあります。

そこに派遣できるかというのを審判部が判断をして、レベル分けをしたうえで派遣されています。

ですから、この審判はできると思われたからこそ、そこで審判をしていることになります。

しかしながら、市区連盟管轄の試合やブロック管轄の試合では、こうしたレフェリーに依頼することができないため、それぞれの場所で審判に取り組まなければなりません。

その事実を踏まえたうえで、寄稿した方は考えて書かれているのか?と思うわけです。

やはり長いので(3)に続きます。

『少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿)』への審判からの反論

いつもと文面が違うかもしれませんが最後まで読んでいただけると幸いです。

少年サッカー界が抱える審判問題(寄稿) マイボ 2016/06月20日(月)

マイボ!というサイトに掲載された寄稿文とのことですが、

最初にある「最初に断っておきたいが、サッカーは審判がいてくれてはじめて成り立つスポーツだ。そのため、審判員のお陰で少年サッカーの指導を続けられているし、私自身もサッカー選手としてやってこれた。その意味では、本当に感謝している。」なんてのは、後への言い訳程度のもので、これっぽちもリスペクトしていないでしょ?

この間の大会(U-10)でも、軽い接触でファールをとられた。これが、バルセロナVSレアルマドリードだったら、絶対にファールはとられないだろう。今時のサッカー少年達は良くも悪くも世界基準のプレーを見ている。そして目指している。

はい、出ました世界基準。

そういう選手を何人も育てたことがあるの?

ラインアウトも示しているけれど、ベンチから見ていての「感想」でしょw

写真から判断するに一人審判でしょうが、それはベンチよりも審判の方が慣れているでしょ。

そして

そして、ルールを知り、サッカーの試合を裁くことに酔いしれた審判が、自分の価値観でジャッジしていることは大きな問題だ。

これがあなたの本音でしょ。

こんなんじゃ話し合いにもならないよね。

・・・

と、おちょくるのはここまでにしましょう。

審判も育成にかかわっている部分があるというのは全面的に賛成します。

そして、全てのコーチにある程度満足してもらえるレフェリーが、東京都で言う市区連盟にたくさんいるとは少しも思っていません。

これは市区連盟の審判部役員である私でさえもそう思っています。

しかしながら、インストラクターという立場にさせていただき、現場に足を運んでみるといろいろな部分が見えてきて、S4級のお父さんレフェリーも努力していることもわかります。

もちろん、何も考えていないという人もいるのは事実ですが、そういう人は淘汰されていくのでここでは遡上に上げません。

まずは育成という部分についてです。

はっきり書きますが、東京都のアクティブレフェリーとして活動させていただき、関東社会人から中学の全都リーグまでを見させていただいている自分から見て、世界基準の子供などほぼ見ません。
※U-12世代という意味でです

足下が上手な選手はいますが、全体的に見て当たりがどうのこうのの前に、手の使い方が下手ですし、ファウルに対するそもそもの考え方が少々間違っているように思います。

ファウルに対する考え方ですが、これはもう指導者の責任と言わざるを得ません。

相手をひっかけて審判が笛を鳴らして「あやまっておけ」・・・なんか違いませんか?

1863年に競技規則ができたわけですが、そもそも競技者は競技規則を理解しているのだから、反則を起こさないという前提で競技が行われていたため罰則というものがありませんでした。

なぜでしょう。

ファウルはしてはいけないものであって、あやまっておけというものではなく、相手競技者に対してリスペクトしていないプレーということです。

もちろん引っかかってしまった、わざとやったわけではないということもありますが、故意ではなくても「過剰」であれば退場になりますし、「無謀」であれば警告となります。

そこまではいかなくても、不用意に何かファウルを犯したというのに、あやまっておけっておかしくありませんか?

私はむしろベンチの大人から「あやまっておけ」というのは、そもそもサッカーというスポーツの中でおかしいと思っており、まずはファウルを犯した選手が自分の過ちであることを認め、まずは謝罪することがスタートであり、その自主性を尊重するべきだと思っています。

さらには、フィールド内の味方競技者がもし謝らないような競技者であれば、その事実を指摘して謝らせるべきものだと思っています。

それが真っ先にベンチが「あやまっておけ」というのは、スタート地点が間違っているとしか言えません。

そんな育成の状況ですから、何が行われているかと言えば・・・
●怒鳴るコーチ
●コーチが望むことをしなければ不機嫌になる
●試合中に自分専用のいすを持ってきて足を組んで座りっぱなしで偉そうに命令する
なんて人を見るわけです。

で、「俺は○○」を育てたというプライドでやっているわけです。

しかしながら本気で育成を考えているコーチからそんな言葉を聞いたことがありません。

「○○くん頑張っているね」と言われたら「頑張っていますね、私も応援しています」というのが、私が知っている素晴らしいコーチたちです。

そしてもっといえばコーチングではなくティーチングしている人が多いと感じています。

これはU-15のコーチをさせてもらっている(いた?w)立場から言わせていただきますが、ティーチングしている人があまりにも多すぎます。

競技者の自主性なんかくそくらえというコーチを「よく」見ます。

そのコーチが「世界基準」とか「プロを目指せ」とか「今日の審判はクソ」なんてことを言うものですから、とてもリスペクトをされているとはちっとも思いません。

・・・長くなるので(2)に続きます。