カテゴリー: 審判のつぶやき

レフェリーは人が行っているのです

ヘーイっ!

フィールドでたまに聞かれる声です。

倒された競技者、押された競技者が不満を表明するときの声ですが、レフェリーがどう見えるかというのを少し書きたいと思います。

間違いなくファウルであると判断した場合、声に関係なくホイッスルを吹いたり、もしくはプレーオンで次のプレーへと移動させます。

それは競技者とレフェリーの判断が一致していることになるので、その後に「レフェリー!」と言うのは、逆効果だったりします。

まあベテランのレフェリーであれば「だから吹いたでしょ」とか「だからプレーオンにしたでしょ」なんていう対処ができるわけですが、全員がそういうことを思うわけではなく「なんでこの競技者はファウルにしたのに文句を言うんだろう」と感じるレフェリーもいるわけです。

ファウルではないと判断した場合、これは競技者とレフェリーの判断が違うということになります。

大きく二つのことが考えられるので、それを見ていきたいと思います。

その二つとは
・ファウルをもらいに行ったのではないが競技者が自分に対するプレーがファウルだと感じた場合
・ファウルをもらいに行ってノーファウルと判断された場合
となります。

まずは「ファウルをもらいに行ったのではないが競技者が自分に対するプレーがファウルだと感じた場合」ですが、レフェリーのミスジャッジ云々の前にレフェリーからはそう見えたまたはレフェリーがそう判断したということが大きな要素です。

私も競技者としてまだプレーをしていますが、競技者が一人称で考えるまたは見えている事象というのはものすごく狭く、レフェリーだけではなく外から見ている人からも「いや今のはファウルじゃないだろう」というプレーは多くあります。

残念ながらレフェリーが見えていない、またはミスジャッジということも考えられますが、延長を除いて最大90分の試合の中でそうしたジャッジの方が少なく、たいていの場合はその審判の基準は大きくぶれることはありません。

つまりは今日のレフェリーの基準というのを早急に察知し、これくらいなら吹いてくれないと切り替えた方が競技者にとってはストレスなくプレーができると思われます。

次に「ファウルをもらいに行ってノーファウルと判断された場合」ですが、こちらはさらにもう一つ見方があります。

それは「ファウルをもらいに行ったように見える(故意ではない)」というのと、「ファウルをもらいに行った(故意)」というものです。

ファウルをもらいに行ったように見える(故意ではない)
分岐1:ファウルだった
この場合にはレフェリーがファウルと判断をして、その後の再開方法やプレーオンなどを実施します。
しかしファウルをレフェリーが見逃した場合には、ファウルを受けた競技者とチームのストレスが上がることになります。

分岐2:ファウルではなかった
この場合にはレフェリーがファウルの判断をしなければそのままプレーが続行されますが、引っかかる審判もいるわけでファウルと判断した場合に、ファウルを受けた側と反対のチームのストレスが上がることになります。

ファウルをもらいに行った(故意)
分岐1:ファウルだった
この場合にはレフェリーがファウルと判断をして、その後の再開方法やプレーオンなどを実施します。
しかしファウルをレフェリーがファウルではないと判断した場合
・ファウルを受けに行った競技者のストレスが上がります。
実はレフェリーのストレスが上がります。(なぜならファウルじゃなかったと判断するから)

分岐2:ファウルではなかった
残念ながら引っかかる審判もいるわけでファウルと判断した場合に
・ファウルを受けた側と反対のチームのストレスが最も上がることになります。
レフェリーがファウルの判断をしなkかった場合は、そのままプレーが続行されます。
ここが最も重要です。
・ファウルをもらいに行ってファウルではなかった競技者はストレスはありません。
万が一ファウルをもらいに行った競技者がレフェリーにアピールをしようものなら、レフェリーはその競技者を要注意人物としてマークします。”最重要”

競技者基準で見てみると、ファウルを受けたのだからファウルを取ってほしいと思うのは間違いがありません。

しかしレフェリー視点で見ると、ファウルではないと判断したのにアピールをしたり、転がってみたりしたら「この競技者は”わざとファウルをもらってアピールしてくる”とますます意固地になっていく場合があります。

それが正しいとか正しくないとかではなく、レフェリーもまた人であるためその競技者をどう思うかという部分にかかってくるわけです。

もちろん、レフェリーは正しいジャッジを心掛ける必要がありますが、レフェリーの注意点の中には「試合の流れを読む」「試合の重要人物を把握する」などという部分が含まれるため、優れたプレーヤー、キーになるプレーヤーを探し当てるということもありますが、残念ながら「要注意人物」というのもマークすることになります。

それがあるために、上の分析の通り競技者とレフェリーの判断や感情のずれが発生して、競技者はレフェリーを不審に思うこともあれば、レフェリーは競技者を要注意人物と判断することもあります。

競技者から見て、特にキーはレフェリーから見て「わざとファウルをもらいに行ってファウルでもないのにアピールする」と思われた時にレフェリーがどう思うかという部分だと感じます。

サッカー界へIT化の波が

すでにプロリーグなどでは選手のパフォーマンスを測ったり、GLTやVARなどIT化の波がとっくに来ているわけですが、アマチュアの底辺である私たちにもやってきましたが、それはもう少し違うものです。

それは・・・PCを使ったプレゼンテーションレベルの利用と、JFAアプリを利用した選手証・審判証・指導者証などの表示です。

もちろん元々レフェリーの研修やインストラクターの研修ではPCなどが使われ提案したが、最近はインストラクターが利用する資料はPower Pointが主に使われており、見せ方を工夫するようになってきました。

もちろん、使わなくてもできることもあるとおっしゃる方もいるかもしれませんが、視覚に訴えるというのはやはり有用で、アニメーションなどをつかったPower Pointは、動きを簡単に表現できるためこれからはITスキルというのが必要になってきます。

使えないからインストラクターはできないのか、レフェリーの情報交換はできないのかといえばそんなことはありませんし、どうしても図解してみんなに広めたいと考えるなら、私のように専門でコンピュータに慣れている人に頼るのも一つの手だと思います。

・・・というか、夕食だけでお手伝いしますよ的なレベルで、仕事であればきちんと報酬はいただきますが、こうしたプライベートであったり、パブリックでもサッカー協会がらみのことであれば、全く気にせず相談していただければお手伝いをさせていただきます。

審判証の件ですが、私としては多くの人がスマートフォンを持っているため、審判証を画面で見せることには賛成ですが、運営側にもタブレットなどの導入が必要ではないかと思います。

チームの選手証なども、チーム担当であればメンバーを一覧で見ることができるようになっていますし、それを運営するところに公開できるようにすることで、タブレットを用いて選手確認などができるようになります。

しかも写真入りですので選手のすり替えもできなくなります。

こうした取り組みはお金がかかることですからすぐに進むことではありませんが、進めるためにどうするのか運営サイドは考えておく必要があると思われます。

GLT(Goal Line Technology)導入への弊害

残念ながら誤審が発生しましたが、これに関しては正しい判定をするための材料が、Jリーグでは未だ目であるためやむを得ないと言わざるを得ません。

記事中にもありますが、副審がオフサイドラインからゴールラインまでボールが蹴られてからの移動時間と、ボールの移動時間と距離を考えるに、副審にすべて正確なジャッジを目だけで求めるのは不可能です。

そのためにはGLTの導入をする必要があるのですが、これには日本の競技施設に対する懸念があります。

サッカー専用競技場であるならGLTの装置の安定性には十分な検証を元に可能だと思いますが、陸上競技場にて試合が行われる場合には、装置が正確に置かれているかという検証をどのように行うのかが問題になってくるのではないかと考えます。

「いやいわワールドカップや●●チャンピオンズリーグでは導入しているではないか」という方もいらっしゃるでしょうが、それは見てわかりますがサッカー専用球技場であり、装置をある程度固定して置いておけるところだということに気が付くはずです。

VARもカメラの台数であったり、場所であったりとこれも設置に時間がかかるわけですが、GLTにしてみても「正確な計測」ができなければ全く意味をなさないわけですから(もし入ってもいないものを入っていたとするなら意味がありません)、その設置及び採用についても十分な検討が必要になると思っています。

私個人としては正しい判定をするためにはGLTもVARも必要だと思っています。

しかし、アジアカップの吉田麻也がハンドリングとされたシーンについては、「手に触れた」というだけでハンドリング→PKとなったため、本来の「手または腕でコントロールをしたか」という部分とかけ離れた結果になっているのではないかと思うため、そうしたソフトウエアの部分においてもきちんと議論され、定義されるべきです。

まあ、私たちアマチュアリーグのレフェリーをやっている者にとっては、GLTもVARも関係がないわけですから、審判は目と耳、足を使って懸命に正しい判定をするための動きをするしかありませんので、今までと変わらないわけです。