日本サッカーの育成に対する弱点

本日はワールドカップロシア大会最終予選のタイ代表とのアウェイ戦です。

すでにUAEに敗退してサッカーファンの多くは危機感を感じているわけですが、育成の観点で見ても日本サッカーは危機的とまではいきませんが、弱点を感じてしまうのはまた事実です。

いろいろな立場(コーチとして、審判として、役員として)で少年サッカーを見ることが多いのですが、強豪になればなるほどポゼッション神話・・・つまりは、一時期流行したバルセロナのようなサッカーを指向しているようで、残念でなりません。

何が言いたいかといえば、最終的にそれがゴールにつながっていないわけです。

先日もある年代の審判として参加していましたが、ポゼッションが圧倒的でありながら、ある意味「たった4点」しか入らない状況でした。

明らかに開いているミドルであってもシュートではなくパスを選択し、最終的にはずす・・・どこかで見たことのある試合だと思ったら、それは今日の日本代表のサッカーを見ている気分になりました。

東京でも有数のチームでこの状況ですが、これがJ下部などと当たると、ポゼッションで圧倒されて何もできなくなるのではないか?と感じてしまいますし、実際に関東など出た時の彼らの試合を見ていると、J下部に当たった時に結果何もできないゲームになっているのが実際です。

そして普段やったことのないカウンターを指向してみても、結局一人で打破できる選手がいないため、ゴールに結びつかないため、本当に何もできず試合が終わってしまうというのを見ることがあります。

日本サッカーの強化の問題点はいくつかあると思いますが、やはり現日本サッカー協会の強化策の失敗が最大のものであると感じます。

プロとして活動する指導者は別として、グラスルーツの指導者は協会の指導指針に従ったり、バルセロナの真似をすることが多くなります。

それがいい悪いではなく、経験がないからこそ模倣するしか方法がなく、その練習であったりサッカーの意味を知らないからこそそうなるのです。

ですから指導者を育てていくことやD級やキッズリーダーを育てることは必要ですが、そもそも指導者にサッカーを考えさせるということをしていません。

そして現在の日本サッカーの中途半端なアジアでのポゼッションサッカーを真似せざるを得なくなり、身体能力に頼ったり、目先の勝負だけに夢中になるような指導しかできなくなる「指導者」が多くなってしまうのです。

まあ、ようやくU-12でも上位リーグができてきたため、少年であってもそのレベルに応じたサッカーができるような環境になってきつつあるのかもしれませんが、その選手に応じた指導というのは間違いなく必要であり、例えば東京都U-12で活躍するようなチームに所属できるような選手と、グラスルーツでまだまだ基礎を学ばなければならない選手と、その練習内容などが変わってくることで、結果として底上げができるようになってくると思うのですが、運営をする側はチームが上のリーグに行くことしか考えず、目の前の選手を見ていないところも散見されます。

下位リーグだからどうだっての?と思うわけですが、小学生時代に下位リーグにいたって将来は素晴らしい選手になる例だって多くあるわけですから、まずは目の前の選手を尊重しませんか?と提案をしたいと思っています。

私は20歳から指導の現場に立たせていただき、いろいろな経験をさせていただきましたが、グラスルーツから地域リーグ、U-12から社会人までいろいろ見させていただき、最初に学んだ遠藤先生の教えというのが良いものだと感じています。

何度もこのブログで書いていますが、遠藤先生がいなければスピードと枠に入れる技術だけが高い(足下が決して得意ではない)選手である私を使い続けて、大きく成長させてくれるなんてことはなかったでしょう。

きっとそういう先生じゃなければ、私はリフティングだって得意ではありませんでしたので、今の評価基準でいえば試合にさえ出してもらえなかった選手かもしれませんが、5年生時から6年生よりも足が速く、キック力がある私のストロングポイントを徹底的に磨いてくれたからこそ、アマチュアでそこそこサッカーができるようになったのだと感じています。

そうした一芸に秀でた選手をどう育てるかというのも、遠藤先生からの教えと、私が指導をするきっかけを作ってくれたのも遠藤先生でしたから、たった2年でしたが学ばせていただきました。
※東京でサッカーができるようにしていただいたのも遠藤先生でしたし、それがきっかけで中学校のコーチもさせていただきました

その中で、グラスルーツこそ必要なのは個の能力を高めることであり、ストロングポイントを伸ばしながら、どうやって苦手を克服するかということに集中してやってきました。

今、たまにしか見ていませんが、U-15の選手にも求めているのはそういうものでありますが、ありがたいことに高校年代でそれなりの結果を出してくれる選手が少しずつ出てきてくれています。

U-12、U-15ではそこまで花が咲くことはなかった選手であっても、U-18で活躍できる選手がでてきたのは、そこに間違いがないと感じています。

「じゃあ代表クラスなのかよ?」と聞かれても、残念ながら澁谷雅也くん以外は、とても全国レベルの選手とはいいがたいわけでが、グラスルーツからのスタートを考えれば、頑張って関東レベルにまで行っている選手がいるのですから、一応の成果だと考えています。

いろいろ書きましたが、日本サッカー協会の強化が失敗しているのは、ポゼッションにこだわりすぎなのだと感じています。

そして、指導者がいろいろ教えすぎて(ティーチング)いるのだと考えます。

もっと選手の自主性を重んじ、考えるサッカーを指向していかなければ、ワールドカップなど夢のまた夢という時代に戻ってしまう可能性があります。

5 comments

  1. 歳は違うかも知れませんが、同じような考えの人がいて安心しました。
    私も日頃同じ考えをもって、子供の試合を観ています。DFで背後をとられ、相手の進行方向がサイドに向いている場合に、クローズターンをしてサイドに向かう選手を追いかけています。オープンターンをして、一度自陣のゴール方向に向かいそして相手を捕まえるモノだと思って観ています。オープンターンをする事で、ゴール前の状況が把握でき第一に誰を捕まえるか考えながらプレーしなければいけないのに、「抜かれるな!」と言う声で、条件反射のように追いかけてしまう子がいます。
    私は自分の子供に、「自分の考えでプレーしろ」と言っています。選手を選ぶのは監督で
    あって、「自分の考えと違うのに、ジュニア・ジュニアユース年代で選ばれたい為のプレーをするな!」と言っています。自分が、失敗や成功をすることによってサッカーに対するフィロソフィーが必ず出来ると思っているからです。
    ペナルティエリア内は、プレヤーの聖域だと思っています。一瞬の閃きや判断が一番大切な所で、試合中、部外者が口を出す部分ではないと思います。
    指導者は、成長する為の環境作りをしてあげれば才能のある子は勝手に育っていくと思います。ジュニア年代で得点に執着心を付けるため、ゴールエリアでの得点は2点、ペナルティエリアは1点、ペナルティエリア外からは2点、キーパを抜かしてゴールラインまでは3点などとして、試合状況に応じてプレーへの付加価値を、プレーヤーに選択させるのも
    1つの手段ではないか?
    全員が、プロのサッカー選手になるのは不可能と理解しております。サッカーの中で、自分の哲学を身につけられれば、社会に出ても立派な大人になるような気がします。

  2. 日本代表には対戦相手より勝ちたい気持ちが格段に低い。どんなに優れた監督を呼び寄せても勝てるわけない。今の選手は現状で既に満足してる。俺はスターだと大きな勘違いをしている。永遠に変わらん。監督のせいにするな。

  3. >ichziku_figoさん

    コメントありがとうございます。
    コメントを確認しておらず遅れてしまいもうしわけありません。

    サッカーは考えるスポーツでもあるため、おっしゃる通りのことが多くあると思っています。

    >全員が、プロのサッカー選手になるのは不可能と理解しております。サッカーの中で、自分の哲学を身につけられれば、社会に出ても立派な大人になるような気がします。

    この部分については大いに賛成いたします。

  4. >蟹江 浩二さん

    コメントありがとうございます。
    コメントを確認しておらず遅れてしまいもうしわけありません。

    今の日本代表には必死さが足りないと私も感じます。
    比較にはならないでしょうが、ドーハでのあの姿を観た者としては、あまりにモノ足りず残念でしかありません。

    明日のサウジアラビア戦はどうなるのでしょうか・・・

  5. ご返答ありがとうございます。
    育成現場は、いろいろ大変だと思いますが次世代につながる事を願っています。
    決して指導者を否定するものではなく、まず自分の考えで物事をとらえて
    間違ってしまったら素直に認め、コーチのアドバイスを自分から聞きに行ける
    子供達になってもらいたいと思っています。

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